其の四

うーむ、一体、これはどういうことだったのか・・?
その後、浅草の河童寺に行ってみたりしましたが、うーん、何か違う。そういうことじゃない気がする。
それからずっと考えてみて、ある結論に達しました。
結局、こういった不思議でワクワクできることが、今の時代にもあるってことを意識するようになったということ・・それが一番重要なことだったのかも。河童が何を伝えたかったかとかじゃなくて、もっと大きな意味です。
おそらく、どんな人にもこういうことは起こっているはずだと思うのです。それに気づいてワクワクするかどうか。

民俗学・人類学の研究者、小松和彦さんは、私たちの世界と隣り合わせの、こうした不思議な世界のことを『異界』と表現しています。オカルトな話をするつもりはありません。つい数十年前までは、入ってはいけないと言われる森や山など、全国にあったはずですから。今は、開発とか治安という名目のため、暗闇すら、すっかり珍しい時代です。

最近、わたしは、“異界”と“自然”は、同義語と言ってもいいんじゃないかと思うようになりました。人間の生活は、自然からの恵みがないと成り立ちません。だから、自然から奪うばかりで敬意も払わず礼もせず、異界のことも忘れていく今の人間に対して、自然(異界)が、いろんな形で警告を送っているのかも?
ここ近年のエコブームやらパワースポットブームは、そんな警告やメッセージを感じ取った人たちが、先導してる(させられてる?)のだったりして。

そういえば、数年前、国内の数カ所の地域で、突然、空からオタマジャクシやフナが降って来るというニュースがありました。近くに川もなく、気象庁が確認しても、竜巻が起こったという観測データは皆無でしたよね。
これも、異界からの『わすれないで』っていうメッセージかしら。
わたしの場合、そのときの個展で、相撲をテーマにした大型の切り絵を並べたので、相撲好きの河童が『オレが行く〜』って感じで、異界代表として遊びに来たのかもしれません。そうだといいな〜。

河童のはなしは、まだもうちょっと続くかもしれません。