発氣よい!

楽しみにしていた大相撲七月場所、一連の騒動のためにテレビ中継もなく、相撲ファンには残念な場所となっています。今後は、時代に合った、より良い角界になることに期待せずにはいられません。そういうわけで、今回は相撲の面白さについての話です。
かく言うわたしも、相撲の魅力にはまったのは10年ほど前からで、ファン歴はそう長くはありません。当時、スポーツ雑誌の絵の仕事をしていたのですが、国技の相撲についてほとんど知識がないことに気づき、調べてみることにしたのです。すると、他のスポーツにはない面白さがたくさん!中でも、わたしがダントツ面白いと思う相撲の4つの魅力をご紹介します。
其の一、見た目!
丁髷(ちょんまげ)をしている人が、2010年の現在も、時を超えて角界だけに存在しています。まさにSF!大銀杏と言われる髷の先の形も、江戸時代にはいろいろな種類があり、栗の形もあったとか(見てみたい!だれかやって!)。そして、まわしは、相手を掴むことが出来る唯一の道具であり、どこを掴むかによって技が変わります。内側をきつく、外側をゆるく締めることで、相手に引きずられにくくする等の工夫も出来ます。ボクサーパンツでは意味がありません。化粧まわしは、格が上がり後援者が大勢付いたことの証!華やかです。いつか、わたしもお気に入りの力士の化粧まわしをデザインしたい・・・。
其の二、『発氣よい!』
立合いは、合図で始まるのではないのです。『発氣よい!』は、『氣を発してぶつかり合う準備はよいか!?』とでも訳せるでしょうか。『よーい、どん』の『よーい(用意)』です。『どん!』は言いません。力士同士がお互いに氣を合わせてぶつかることにより、相撲が始まるのです。こんな始まり方をするのは、相撲だけ。
其の三、無差別級!
大男も、小兵も、体重による階級分け無しで勝負します。この無差別級の戦いは、土俵なくしては成立しません。現在の土俵は、直径4メートル55センチ。この絶妙な大きさのため、小柄な力士でも身をひるがえして、大きな相手を土俵の外に出したり、バランスを崩させたり出来るのです。自分の工夫とやる気次第で大きな相手に勝てるって、かっこいいですね。もちろん、どっしりと重い方が、押されたときに有利ですから、たくさん食べて体型を維持するわけです。
其の四、一場所15日間!
これは、本当にスゴいことです。15日もの間、集中力を保ち続け、体を維持し、毎日違う相手と戦い続けるのですから。格闘技やサッカーも、日々努力を重ねて大きな試合に臨みますが、15日間連続で試合はしません。苦手な相手もいるでしょう。途中で怪我をすることもあるでしょう。幾日か連続して負けると焦りが出てくるかもしれません。プライベートなことで心を乱されている日もあるかもしれません。だけど、そんなことに負けず、一人で15日間勝負する。それが年に6場所もあるのですから、並大抵な精神力ではないはずです。その中で勝ち抜き、何度も優勝している力士は本当に尊敬します。

古より神社に奉納する神事として行われて来た相撲。精神力と体力の限界を尽くす最高の取組みを、神様にも楽しんで観ていただきたい!ということでしょうか。本当に日本人らしい、面白いスポーツだと思います。河童が相撲好きなのもわかるなぁ!