其の一

夏です!河童の季節です!
前回の餃子の話、付け合わせには胡瓜が最も合うと最後に書きましたが、胡瓜と言えば河童です。実は、餃子の話はその前フリでした。(餃子に胡瓜が合うのは本当です)
河童はどのようにして生まれたか。
諸説ありますが、天才宮大工 左甚五郎が急ぎの工事を手伝わせようと、木片や藁を結び合わせて人形を作り、命を吹き込んだのが始まりと言われています。河童の手を引っ張ると、もう片方の手が短くなるのですが、左右の手が繋がった人形だったからなのですね。
さて工事が無事終わり、甚五郎が使役した人形たちを川に捨てようとしたところ、人形たちは『これから俺たちは何を食べていったらいい?』と尋ねました。甚五郎は『人の尻でもとって喰え!』と言ったそうで(工事を手伝わせておきながらヒドい話です)、それ以来、河童となって川に棲み、人の尻子玉を奪うようになったとか。ちなみに、尻子玉とは、魂が抜け出ないよう肛門に栓をしている玉のことで、盗られてしまった人は、魂が抜けて川の中でニヤニヤ笑っているのですぐわかります。

河童の好物はこの尻子玉と新鮮な胡瓜。そして、相撲を取るのが大好きで、出会った人に『相撲を取ろう!』とやたら誘います。小柄ながら怪力の持ち主ですので、注意が必要です。
そんな河童にも、義理堅い一面があります。助けてやると、必ず恩を返すのです。
浅草の合羽橋通りがある辺りには、昔、川が流れていて河童が棲んでいました。しかし、この川は、大雨が降るといつもあふれてしまって、人々の悩みの種でした。ある日、近くに住む雨合羽屋の喜八が怪我をした河童の子供を助けてやったそうです。さてその頃の喜八は、川の氾濫を抑えるには、掘削して整備するほかないと考え、私財を投げうって掘削工事を始めたところでした。すると、河童の子を助けて以来、毎日の作業が、すごい勢いではかどるのです。昨日まで進めたところが、朝になるともっともっと進んでいる。それもそのはず、河童が恩返ししようと、夜中に一族総出で猛烈に働いていたのです。無事に工事は終わり、川の氾濫もなくなったとか。
また別の地域にも、河童を助けた男の家に、毎晩魚を届けに来たという話が残っています。朝になると、家の戸口の木釘に魚が引っ掛けてあるのです。ところがこの男、たくさんの魚を引っ掛けられるよう、小さな木釘を丈夫な金釘に取り替えました。すると、河童は金気を嫌うので、こわがって二度と来なくなってしまったそうです。欲を出すといけませんね。
さて、なぜわたしはこんなに熱く河童を語っているのか・・。
それは『河童のはなし 其の二』にてお話いたしましょう。